ラジオでピーター・ポール&マリーが歌った「花はどこへ行った(原題 Where have all the flowers gone?)」のことに触れたリスナーからのお便りが紹介されていて「原曲はウクライナの子守歌」と書いてあったらしい。「人は間違えることがあるから確認しなさい」を実践している私は、さっそく確認してみた。
1955年、ピート・シーガーが制作。ロシアの作家、ミハイル・ショーロホフの『静かなドン』の最初のほうに出てくる、コサックの民謡の歌詞にヒントを得たのだという。シーガーはこれに曲をつけたが、既存のフォークソングを参考とした可能性もある。シーガーは、『Rainbow Quest』というレコードに収めたメドレーの中で、3番までの歌詞でこの歌を録音し、そのままこの歌を忘れていた。その後、ジョー・ヒッカーソン(Joe Hickerson)が4番と5番の歌詞を書き加え、1961年に著作権が登録し直された。この歌詞への加筆によって反戦歌としての色彩が鮮明になった。
花はどこへ行った – Wikipedia
「コサックの民謡の歌詞にヒントを得た」とは書いてある。ただ、「ウクライナの子守歌」とは繋がらない。以下はネット検索で見つけた情報。
『夢は窓辺を過ぎて Ой ходить сон, коло вікон』(Oi Khodyt Son Kolo Vikon)は、ウクライナの伝統的な子守唄。英語では『The Dream Passes by the Windows』などと表記される。
ウクライナの子守唄 夢は窓辺を過ぎて 歌詞の意味・和訳
コサックの子守歌 Cossack’s Cradle Song/ロシア民謡
やさしいオルゴール-オルガニート作品集
ロシア民謡とされていますが、元の歌はウクライナ民謡の「ソフィアの子守歌」。 日本で広く知られているのは3拍子ですが、元は4拍子だそうです。
原曲の歌詞は、将来兵隊となって出征するわが子の姿を思い浮かべる母の心境を歌っています。
日本人がロシア民謡を知り、広く歌い始めたのは第2次世界大戦後のことであるが、戦前にも少ないながら、その接点と交流はあった。
ロシア民謡うんちく1/(うたごえサークルおけら)
古くは江戸後期1800年代前半の、大黒屋光太夫がロシアから持ち帰ったとされる「ソフィアの子守歌」がある。これは有名な民謡「コサックの子守歌」の元歌とされている。
作詞 ソフィア・プーシ
作曲 ロシア民謡
訳詞 関 鑑子■この歌は1792年(寛政四年)に日本に初めて伝わったロシア民謡です。漁夫光太夫の一行が嵐でロシア領に漂着、当時幕府は国外からの帰国等は死刑で禁じていましたが、ロシア女帝のはからいによって九年後に帰国し伝えた歌です。ロシアで光太夫が寄寓した家の妹ソフィアが彼に同情してうたいあげたものです。ロシアではこの歌をもとに多くの民謡や革命歌が生まれています。
ソフィアの歌/うたごえサークルおけら
天明2年(1782年)、嵐のため江戸へ向かう回船が漂流し、アリューシャン列島(当時はロシア領アラスカの一部)のアムチトカ島に漂着。ロシア帝国の帝都サンクトペテルブルクで女帝エカチェリーナ2世に面会して帰国を願い出、漂流から約9年半後の寛政4年(1792年)に根室港入りして帰国した。
大黒屋光太夫 – Wikipedia
森川久美『ソフィアの歌』(原作:五木寛之)(1994年7月1日 角川書店) 1791年、ペテルブルグ郊外の離宮ツァールスコエ・セローに到着した光太夫とソフィアとの出会いを軸に、光太夫の漂流物語と当時の歴史的背景が描かれる。但しソフィアという女性に関しては「ツァールスコエ・セローの施設管理人(御苑長)ブーシュ(ブシ)の妹」以外の記録や史料は存在しないので、彼女のキャラクターはフィクションである。
大黒屋光太夫 – Wikipedia
『おろしや国酔夢譚』(おろしやこくすいむたん)は、井上靖による長編小説、またそれを原作とした1992年公開の日本映画である。
おろしや国酔夢譚 – Wikipedia
大黒屋光太夫をはじめとする、漂流した神昌丸の乗組員17人の運命を、日露の漂流史を背景に描き出した歴史小説で、『北槎聞略』などを参考に書かれているが、この小説が書かれた当時は、帰国後の光太夫らが故郷に一時帰郷できたことや比較的自由に江戸で生活していたことは、まだ判明していなかった。
映画『おろしや国酔夢譚』のイメージソングです。
Amazon ソフィアの子守唄 | ソフィア, 舩木真弓, 五木寛之, 星勝, 藤野浩一, サンクトペテルブルグ・コンセルバトワール弦楽四重奏団, サンクトペテルブルグ・コンセルバトワール民族合奏団 | ジャズ | ミュージック
ソフィア(イリーナ&スベトラーナ)のハーモニーがすごく素敵です。
曲目が表示されているのと若干違います。
曲目は
1.ソフィアの子守唄(ロシア古謡のコラージュ)−ロシア語−(歌:ソフィア)
2.ソフィアの子守唄(ロシア古謡のコラージュ)−日本語−(歌:舩真弓)
3.ソフィアの子守唄(ロシア古謡のコラージュ)−弦楽四重奏編−
4.ソフィアの子守唄(ロシア古謡のコラージュ)−ロシア民族楽団編−
です。
もう生産中止で購入はこの曲のみの購入は難しいと思いますので、『おろしや国酔夢譚』のサウンドトラックにもソフィアの歌声が聴けますから、是非サウンドトラックで聴いて下さい。
事実とフィクションが入り混じって混乱している印象。
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