カルト集団が使っている人の心を思い通りに動かす「6つの原理」を政党や選挙の候補者が使うなら…

 『影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか』(誠信書房)という本を書かれたアメリカの社会心理学者チャルディーニ博士による人の心を思い通りに動かす「6つの原理」が紹介されていて、記事では統一協会(今は世界平和統一家庭連合)などのカルト集団の手口として紹介されていたのだが、政党などが支持者を増やしたり維持したりするのに参考になりそうだと思ったので、メモしておく。

 人の心を思い通りに動かす「6つの原理」は①返報性②コミットメントと一貫性③社会的証明④好意⑤権威⑥希少性と分類されている。

①返報性……「人から何らかの恩恵を受けたら、お返しをしなければならない」という原理。生命保険のセールスマンは、花の種をくれて、ゴミ出しを手伝い、肩まで揉んでくれた。何かお返しをしなくてはと思ってお茶を出したが、まだ借りがある。彼が勧める保険に入れば、お返しができると考えてしまう。

カルト集団も営業マンも手口は同じ…人の心を思い通りに動かす「チャルディーニ博士の6つの原理」とは 「強迫観念」と「依存心」で健全な思考を奪う (2ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 政党の候補者が①返報性の原理を使うなら、選挙区の住民のために何かをしたら良い。今でも地元の何らかの集まりに出席したりはしているのだろうけれど、まずは住民の話を聴くこと、聴いて何を求めているかを知って、困っていることがあったら解決のために力を貸すなどする必要があるだろう。自分の役に立ったことがある候補者ならば①返報性の原理でお返しに投票したくなるだろう。

②コミットメントと一貫性……「自分が何かしたら、その後も以前にしたことと一貫し続けたい(一貫していると人から見られたい)」という原理。お孫さんの学資保険に入ったあなたは、次に生命保険に入るときも、同じ会社の同じセールスマンにしようと思う。別の保険会社に変えれば、あなたの前回の判断には問題があったことになってしまう。「コミットメント」は訳しづらい言葉で、日本語では「(責任をともなう)約束」といった意味だが、一貫性とあいまって、人は自分で決めたことや約束したことは、後から変更することが非常に難しくなる。マインド・コントロールは、他者からの働きかけによって、本人に一つ一つの決断を迫っていくものだが、このコミットメントと一貫性とあいまって、次第に引き返すことが困難となる。

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 政党の候補者は②コミットメントと一貫性を意識したら良いと思う。自民党の支持者が支持を変えないのは②コミットメントと一貫性によるものかもしれない。いったん投票してもらったら次も投票してもらえるように①返報性の原理を意識した努力して、②コミットメントと一貫性の現れで繰り返し投票したら貰うことで他の候補者に投票しなくなるようにしたら良い。

③社会的証明……「人は、他人が何を正しいと考えるかに基づいて、物事が正しいかどうかを判断する」という原理。生命保険のセールスマンは「近所の○○さんも入ってくれました」といった。○○さんは保険の専門家でもないのに、あなたは「それならば」と思ったはず。

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 政党の候補者が③社会的証明の原理を使うなら、自分の投票してくれる人が分かるようにしたら良い。選挙のたびに応援演説が行われるのは③社会的証明の原理を使っているのだろう。ただ、応援演説をしてくれる人の人選で自分よりも遠い人だったらあまり③社会的証明の原理は働かないかもしれない。同じ選挙区の有権者に顔見知りの人で多くの人に好かれている人に頼んだら良いのかもしれない。選挙カーで回る時も地区によって「○○さんに応援してもらってます」の「○○さん」を変えたら良いのかもしれない。「○○さん」が日頃から支持している政治家を明確にしていたら効果があるかもしれない。

④好意……「人は、自分が好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい」という原理。あなたが大切にしている花を誉めたセールスマンを、あなたは「悪くない人だ。自分と趣味が合う」と思うことになる。肩を揉んでくれたときは、好意を感じる。自分が好いている人の頼み事なら聞いて当然だ、と考える。

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 政党の候補者が④好意の原理を使うのなら、とにかく地元の有権者に好かれた方が良い。好かれるためには、魅力的な人柄になることは必須で、日頃から地元の人のために何かをした方が良い。地元の人に何かと頼まれるようになれば良いし、日頃から自分の意見を地元に人に伝えておくことも必要かもしれない。自分の意見が地元の人の好みに合っていれば行為を感じてもらいやすくなるだろう。

⑤権威……「人は権威に弱く、権威者の命令や指示には深く考えずに従いがちである」という原理。セールスマンが勧めるパンフレットには、有名なベテラン俳優の顔写真が掲載されている。その会社はテレビCMの放映もたくさんしており、株価も高い。これらはすべて会社の権威性を高める。権威ある人が、権威ある会社の生命保険を勧めているのだ。安心して加入できる、と考えてしまう。

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 政党の候補者が⑤権威の原理を使うのなら、政治と関係なさそうな有名人に応援してもらえば良いかもしれない。政党の代表にも権威はあるだろうが、応援して当然な人なのであまり効果はないような気がする。ただ、政党に大切にしてもらえていると感じさせることはできるかもしれないが…。地元で権威のある人に応援してもらえば良いかもしれないが、既に他の政党を支持している人だったら応援してもらえないかもしれない。ただ、味方にできれば強いだろう。

⑥希少性……「あるものが手に入りにくくなればなるほど、それを得る機会が貴重と思えてくる」という原理。生命保険のセールスマンは、「キャンペーンがあと5日で終わってしまう」といった。このチャンスを逃す手はないだろう。急いで手続きをしなければ、自分は損をしてしまう。デパートのバーゲンやタイムセール、通販番組などで、多くの人が体験する。

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 政党の候補者にとって⑥希少性とは何だろう? 難しいが、政党であれば、他の政党が訴えていない政策を訴えることが重要かもしれない。その政策を実現するためにはその政党が与党にならなければいけない。そのためには、その政党に投票しなければならない。そんな感じかもしれない。政党ではなく候補者個人の⑥希少性ならば、マイノリティの特性がそうかもしれない。ただ、期間限定で売られている商品でも欲しくない商品ならば買わないように、まずは有権者が求めているもので⑥希少性がある政策が良いかもしれない。国会議員個人の⑥希少性で思い出すのは、小泉元首相がテレビでたびたび言っていた「郵政民営化を訴えているのは私だけ」という主旨のこと。あれで彼は人気者になって自民党の党首になって首相になったような気がする。郵政民営化なんか有権者が求めていたわけではないが、それが必要な理由をたびたびテレビで言っていて、彼が郵政民営化を訴えている理由がNHKの人によって解説されたこともあった。それで有権者が「郵政民営化が必要だよね」と思うようになれば、彼が党首の自民党に投票することになる。そんな感じかもしれない。今⑥希少性の原理を利用するとしたら何を訴えたら良いのだろうか? 各政党や候補者はそれを考えた方が良いかもしれない。

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