NHK-FMの「青春アドベンチャー『逢沢りく』」の再放送があって、全部聴いた。
『逢沢りく』(再)(全10回)4/18~放送
『逢沢りく』(再)(全10回)
~14歳の少女がたどりついたのは、初めての「涙」。~【NHK FM】
2022年4月18日(月)~4月22日(金) 午後9時15分~午後9時30分(1-5回)
2022年4月25日(月)~4月29日(金) 午後9時15分~午後9時30分(6-10回)
(初回放送:2016年5月2日~5月13日)【出演者】
恒松祐里 こじまけいこ 木内義一 和泉敬子 福原正義 前田綾香 榎田貴斗 堀江武志 毛利大竜 川辺早紀子 三角園直樹 安永稔 髙塚夏生 髙寺沙菜 野島樺乃 町音葉 小林美穂 北折琢人 泉陽登
【原作】
ほしよりこ
【脚色】
前田司郎
【スタッフ】
制作統括:櫻井壮一
技術:浅井英人
音響効果:久保光男
選曲:岩城成生
演出:小野見知
(名古屋局制作)【あらすじ】
『逢沢りく』(再)(全10回)4/18~放送 – 青春アドベンチャー – NHK
14歳の美少女りく。悲しみの意味はわからない。それでも、人前で自在に涙を流すことで、うまくやってきた。かっこよくてモテるパパと、美人で料理上手のママとの、「完璧な」暮らし。しかし、あることをきっかけに、りくは、関西の親戚の家に預けられることになる。ざっくばらんな関西人たちの中、「わたしは染まらない」と頑なになるりくだったが……。マンガ大賞受賞作のオーディオドラマ化。
マンガ大賞受賞作ということでネットで検索すると漫画の感想が見つかる。作者がどんな風に読んでもらいたかったのか分からないのだけど、レビューの中に作者のコメントがあって、「いろんな解釈」があって良いらしい。
著者:ほしよりこ
『逢沢りく』(ほしよりこ)ロングレビュー! “カンペキな家庭”に生まれた美少女が“生きること”に向きあう | このマンガがすごい!WEB
お読みいただき、ありがとうございます。「すごい!」と言っていただけてうれしいです。
作品についていろんな解釈をしていただけると、物語が息を吹き込まれるように思います。
そうして、多くの方に読んでいただけることで、登場人物は体温をもつのだと感じました。
ひとりきりで描いている孤独から、今は解き放たれて、物語が自分の手を離れた気がしています。
そんなわけで、私は原作を読んでないのでラジオドラマの感想を書く。
全10回の内、第3回までは、本当にきつかった。不快だった。逢沢りくにも、その母親にも父親にも、父親の浮気相手にも共感できないし、好きになれなかった。逢沢家がりくを含めて理想の家庭のようにふるまっている所が特に好きになれなかった。そんな環境で育ったりくの性格が歪むのは仕方ないと思った。
そんな不快な設定が第4回からがらりと変わる。逢沢りくが大阪の親戚の家で暮らすことになるのだけど、その大阪の人たちが皆「漫才師」のようで、台詞が笑える。そんな中でりくだけ異質なんだけど、りくが大阪の人たちに巻き込まれて東京にいた時のように自分の思い通りの状況にできない所も笑える。大阪の親戚にもシリアスな設定があるのだけど、それでも暗くなるシーンはほとんどなく、楽しく暮らしているように感じられる。それが意識的なのか無意識なのかは不明なまま。シリアスな設定に対しては意識的に明るくしていることは明かされた。
そんな大阪の人たちの強引な交流の影響でりくが良い方向に変わっていくのだけど、ラジオドラマでは決定的なターニングポイントでストーリーが終わる。ドラマの後のりくが魅力的に変わっていくことは容易に想像できる。でも、その後に大阪の人たちや両親とどのように向き合うかは分からない。
そして、逢沢りくの性格が歪んでしまった理由、特に母親のことについては謎のままである。母親の問題点については元カレが登場して、元カレの台詞で分かった。でも、母親がそうなってしまった理由については不明なまま。そして、変わったりく、自分の思い通りにならなくなったりくと向き合うことでどう変わるかが気になる。
感動できる終わり方で完結した感じなので、続編はないだろうし作者も描く気が無いと思うが、描くとしたら大阪の人たちの台詞で笑わせるコメディになるのかもしれない。ただ、それだけだと芯が無いので、りくと母親との関係や、元カレに指摘された母親の歪んだ性格がどのように形成されたのか、回想シーンを混ぜながら描くことになりそう。母親が関西弁を嫌っていたので、嫌なことがあったんだろうなと思う。
そんな「逢沢りく」のその後を描いてほしい気もするけれど、読者やラジオドラマを聴いた人たちが好き勝手に想像してストーリーを作るのも面白いかもしれない。たぶん、誰かが作っているのだろう。
とにかく、NHK-FMのラジオドラマ「逢沢りく」はとても面白かった。
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