税の負担者と納税者
消費税のしくみ|国税庁
・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。
・商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます。
・消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。
残念ながら「インボイス制度」が始まると「生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかること」になり、「税が累積しない仕組み」が崩れる。
消費税が日本に導入される前に消費税に反対する人たちから指摘された欠陥が「生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかること」だったように思う。その欠陥を無くすために「仕入税額控除制度」を設けて多段階課税にしたのだと思う。それであれば消費者が負担する消費税額と事業者が納付する消費税の合計が一致する。
でも、低所得者の負担が大きくなることを批判され、事業者だけでも売上の少ない事業者の負担だけでも減らそうと「免税事業者」の制度が設けられたのだろう。
しかし、免税事業者が多くなると納付される消費税の総額が少なくなってしまい、財務省としては消費者が負担した全ての消費税を納めてほしくて「インボイス制度」を始めるのだろう。建前は「仕入税額控除制度」を適用する際に正確に控除するためかもしれないが、本音は全ての消費税を集めたいのだろう。
でも、「インボイス制度」を初めて免税事業者が納付を免除された消費税の額を免税事業者から仕入れた事業者が支払う仕組みにしたことで、上の図のように「生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかる」欠陥が生じることになった。
消費税を導入して多段階課税にするのなら「免税事業者」の制度は設けるべきではなかった。事業者の利益が少ないと従業員の生活が苦しくなるから消費税を免除することで利益を下げないようにしたのかもしれないが、従業員の生活を事業者が支える仕組みが間違っている。それが可能だった時代なら問題ないように見えたのかもしれないが、個人事業主など低収入の事業者が増えた昨今では、あるいはロボット技術が進化して必要な労働力が減った現代や将来では、国民の生活は国が支えるしかない。国と言っても、それは国民の集合体で、国のお金は国民から税金として集めたものである。要するに、高額所得者のお金を国民、あるいは同じ国に暮らす外国人を含めた全ての市民に再分配する仕組みの方が良い。高額所得者だけから徴税するのではなく全ての市民から同率で徴税しても高額所得者から徴税する額が多くなるので全ての市民に同額を再分配すれば問題ない。
「免税事業者」の問題だけではない。そもそも「仕入税額控除制度」が面倒である。仕入れの時の消費税が正確に分からないといけない。だから「インボイス制度」が必要なのかもしれないが、売手も買手も手間が増える。事業者はパソコンで処理することで少しは手間が減るだろうが、事業者が提出した書類が正しいかどうかチェックする財務省の手間も増える。そんな手間を増やすなら、消費税を廃止して法人税を上げた方が良い。そもそも消費税を負担しているのは事業者ではなく消費者なのだから、法人税を上げたら事業者の金銭的な負担が増えることになるのだけど、それはそれで別問題で、消費者に消費税を負担させるのではなく、所得税を上げた方が良い。所得税なら高額所得者ほど納税額が大きくなり低所得者に優しく、消費税のように高額所得者が消費せず金融取引などのマネーゲームに使って消費税を納めることにならない所得からも税金として徴収できる。
「インボイス制度」で面倒な手間が増える消費税なんか廃止して、法人税と所得税を上げた方が良い。もちろん、法人税も所得税も累進課税の方が良い。ただし、特別定額給付金のように同じ額で一律給付の再分配をするのなら、そのための財源として別建ての所得税を定率で聴取しても良い。
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