#bing の作った創作落語が理解できない

 bingが作った創作落語の解釈についてマストドンで「会社の近くのレストラン」が一つではないかもしれないことを教わった。

(前略)
これはお互いに興味を持ちつつ永遠に出会うことができない恋愛を皮肉ったと思います、面白さはガハハと笑う系でなく、う〜んと唸りつつニヤリとくる系で、落語で思いっきり笑いたい人には物足りないものです
古典でバカだね〜と突っ込む番頭ポジションの上司が混ぜっ返すとわかりやすく笑えたかも
(中略)
「会社の近くのレストランです!」
上司「どっちのだよ」
(以下略)

https://mstdn.jp/@capla/110224566560353413

 それならば、笑える話になる。bingが「二人は無事に食事に行けたのでしょうか?それとも・・・?想像にお任せします。」と匂わせたことも理解できる。ただし、bingにそんな意図があったかどうかは分からず、続きを作らせたら、私の想像とは違った。二人は電話の後もメールでやり取りをしたり、会えなかった場合も他の人と間違えていたからだったりした。
 bingが作った話では満足できなかったので、続きを考えてみた。

 田中さんは6時に仕事を終わらせまして、にこにこしながら会社を出ますと右に曲がりまして、すぐ近くのレストランに入りました。

店員「いらっしゃいませ。こちらがメニューです。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
田中「ありがとう。待ち合わせしてるんだ。連れが来たら注文するよ」
店員「かしこまりました。ごゆっくりお楽しみください」

 田中さんはにこにこしながらメニューを見てます。

田中「どれにしようかな。パスタもいろいろとあるな。ピッツァは夕食にはできないな。カルパッチョって何だ? ミネストローネは聞いたことがあるな。リゾットは雑炊だったな。アクアパッツァって何だ?」

 そんな感じでメニューを眺めていたら待ち合わせ時刻の6時半になりました。
 田中さんは入口の扉が開く音を聞くたびに入ってくる客の顔を確認していたのですが、佐藤さんは6時半になっても入ってきませんでした。

田中「おかしいな……。残業でも入ったのかな?」

 7時になりました。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「もうすぐ来ると思うんだ。もうちょっと待ってくれ」
店員「かしこまりました。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」

 8時になりました。佐藤さんはまだ来ません。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「ごめんね。注文するよ。パスタの、このカルボナーラってのを頼むよ」
店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」

 パスタを食べ終わっても佐藤さんは来ませんでした。田中さんは俯きながら席を立って、俯きながらレジでお金を払って、俯きながら扉を開けてレストランから出て、トボトボと家に帰っていきました。
 翌朝、出勤した田中さんは佐藤さんに電話しました。

田中「もしもし、佐藤さんですか?」
佐藤「はい、佐藤です。どちら様でしょうか?」
田中「あ、田中です。同じ部署の田中です」
佐藤「あ、田中さんですか。どうしたんですか?」
田中「どうしたって……、佐藤さんこそ、昨日はどうしたんですか?」
佐藤「昨日?」
田中「会社の近くのレストランで6時半に待ち合わせしたのに来なかったじゃないですか」
佐藤「えっ、いらっしゃったんですか?」
田中「行きましたよ。佐藤さんはどうして来なかったんですか? 残業だったんですか?」
佐藤「残業はありませんでしたよ。ちゃんと6時半に会社の近くのレストランに行きましたよ」
田中「えっ、8時まで待っていたけれど、見なかったな…」
佐藤「私も8時までは店にいましたけれど、田中さんはいらっしゃいませんでしたよ」
田中「変だな……」
佐藤「変ですね……」

田中「今日こそ一緒に食事しませんか?」
佐藤「今日はちょっと……」
田中「明日はどうですか? どうしても一緒に食事したいんです」
佐藤「わかりました。では、食事に行きましょう。来週でいいですか?」
田中「来週ですね。分かりました。どこで待ち合わせましょうか?」
佐藤「また会社の近くのレストランでいいですか?」
田中「いいですよ!それでは、何時にしましょうか?」
佐藤「また6時半でいいですか?」
田中「わかりました。6時半なら大丈夫です!」
佐藤「では、6時半に会社の近くのレストランで決まりですね?」
田中「はい、決まりです!では、楽しみにしています!」
佐藤「私も楽しみにしています!」
田中「さようなら」
佐藤「さようなら」

 さて、その来週になりました。
 田中さんは6時に仕事を終わらせまして、にこにこしながら会社を出ますと右に曲がりまして、すぐ近くのレストランに入りました。

店員「いらっしゃいませ。こちらがメニューです。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
田中「ありがとう。待ち合わせしてるんだ。連れが来たら注文するよ」
店員「かしこまりました。ごゆっくりお楽しみください」

 田中さんはにこにこしながらメニューを見てます。

田中「どれにしようかな。先週はパスタのカルボナーラを食べたな。今週はどうしようかな……」

 そんな感じでメニューを眺めていたら待ち合わせ時刻の6時半になりました。
 田中さんは入口の扉が開く音を聞くたびに入ってくる客の顔を確認していたのですが、佐藤さんは6時半になっても入ってきませんでした。

田中「おかしいな……。残業でも入ったのかな?」

 7時になりました。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「もうすぐ来ると思うんだ。もうちょっと待ってくれ」
店員「かしこまりました。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」

 8時になりました。佐藤さんはまだ来ません。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「ごめんね。注文するよ。パスタの、このペペロンチーノってのを頼むよ」
店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」

 パスタを食べ終わっても佐藤さんは来ませんでした。田中さんは俯きながら席を立って、俯きながらレジでお金を払って、俯きながら扉を開けてレストランから出て、トボトボと家に帰っていきました。
 翌朝、出勤した田中さんは佐藤さんに電話しました。

田中「もしもし、佐藤さんですか?」
佐藤「はい、佐藤です。どちら様でしょうか?」
田中「あ、田中です。同じ部署の田中です」
佐藤「あ、田中さんですか。どうしたんですか?」
田中「どうしたって……、佐藤さんこそ、昨日はどうしたんですか?」
佐藤「昨日?」
田中「会社の近くのレストランで6時半に待ち合わせしたのに来なかったじゃないですか」
佐藤「えっ、いらっしゃったんですか?」
田中「行きましたよ。佐藤さんはどうして来なかったんですか? 残業だったんですか?」
佐藤「残業はありませんでしたよ。ちゃんと6時半に会社の近くのレストランに行きましたよ」
田中「えっ、8時まで待っていたけれど、見なかったな…」
佐藤「私も8時までは店にいましたけれど、田中さんはいらっしゃいませんでしたよ」
田中「変だな……」
佐藤「変ですね……」

田中「今日こそ一緒に食事しませんか?」
佐藤「今日はちょっと……」
田中「明日はどうですか? どうしても一緒に食事したいんです」
佐藤「わかりました。では、食事に行きましょう。来週でいいですか?」
田中「来週ですね。分かりました。どこで待ち合わせましょうか?」
佐藤「また会社の近くのレストランでいいですか?」
田中「いいですよ!それでは、何時にしましょうか?」
佐藤「また6時半でいいですか?」
田中「わかりました。6時半なら大丈夫です!」
佐藤「では、6時半に会社の近くのレストランで決まりですね?」
田中「はい、決まりです!では、楽しみにしています!」
佐藤「私も楽しみにしています!」
田中「さようなら」
佐藤「さようなら」

 受話器を置いてからも田中さんは「変だな」と思いまして、上司に相談してみました。

田中「鈴木さん、ご相談があるんですが……」
上司「なんだい?」
田中「会社の女性と食事の約束をしたのですが、待ち合わせ場所に来なかったんですよ」
上司「ああ、そう。いつ待ち合わせしたんだい?」
田中「先週と今週の6時半に」
上司「二度もかい。で、どこで待ち合わせしたんだい?」
田中「会社の近くのレストランです!」
上司「どっちの?」
田中「えっ?」
上司「会社の近くのレストランといえば、イタリアンレストランのアスペットとフレンチレストランのデゾレの二つがあるだろ?」
田中「あっ!」
上司「どっちだい?」
田中「私はイタリアンレストランの方で待ってました」
上司「相手はフレンチレストランの方だったかもしれないね」
田中「そうですね。相手はフレンチレストランの方で待ってたのかもしれませんね。だから会えなかったんだ……」
上司「そうかもね」
田中「今度はフレンチレストランの方で待ってみます」
上司「おいっ……」

 田中さんは上司の続きの話を聞かずに飛び出していきました。

 さて、待ち合わせした来週になりました。
 田中さんは6時に仕事を終わらせまして、にこにこしながら会社を出ますと左に曲がりまして、すぐ近くのフレンチレストラン「デゾレ」に向かいました。
 そのすぐ後ろに佐藤さんがいました。こっそりと後を付けていたんです。田中さんが会社を出て左に曲がってフレンチレストランの「デゾレ」に入ったのを見ると、佐藤さんは会社の方に引き返しまして、そのまま進んでイタリアンレストランの「アスペット」に入りました。
 そうとは知らない田中さん。フレンチレストランに入ってメニューを眺めています。

田中「どれにしようかな。エスカルゴは聞いたことがあるな。たしかカタツムリだよな。ビスクって何だ? ポトフも聞いたことがあるな。キッシュて何だ?」

 そんな感じでメニューを眺めていたら待ち合わせ時刻の6時半になりました。
 田中さんは入口の扉が開く音を聞くたびに入ってくる客の顔を確認していたのですが、佐藤さんは6時半になっても入ってきませんでした。

田中「おかしいな……。残業でも入ったのかな?」

 7時になりました。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「もうすぐ来ると思うんだ。もうちょっと待ってくれ」
店員「かしこまりました。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」

 8時になりました。佐藤さんはまだ来ません。

店員「お客様、ご注文はどうなさいますか?」
田中「ごめんね。注文するよ。ポトフってのを頼むよ」
店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」

 ポトフを食べ終わっても佐藤さんは来ませんでした。田中さんは俯きながら席を立って、俯きながらレジでお金を払って、俯きながら扉を開けてレストランから出て、トボトボと家に帰っていきました。
 翌朝、出勤した田中さんは佐藤さんに電話しました。
 
田中「もしもし、佐藤さんですか?」
佐藤「はい、佐藤です。どちら様でしょうか?」
田中「あ、田中です。同じ部署の田中です」
佐藤「あ、田中さんですか。どうしたんですか?」
田中「どうしたって……、佐藤さんこそ、昨日はどうしたんですか?」
佐藤「昨日?」
田中「会社の近くのレストランで6時半に待ち合わせしたのに来なかったじゃないですか」
佐藤「えっ、いらっしゃったんですか?」
田中「行きましたよ。佐藤さんはどうして来なかったんですか? 残業だったんですか?」
佐藤「残業はありませんでしたよ。ちゃんと6時半に会社の近くのレストランに行きましたよ」
田中「えっ、8時まで待っていたけれど、見なかったな…」
佐藤「私も8時までは店にいましたけれど、田中さんはいらっしゃいませんでしたよ」
田中「変だな……」
佐藤「変ですね……」
田中「待ち合わせたのはフレンチレストランのデゾレですよね?」
佐藤「えっ?」
田中「えっ? 違うんですか?」
佐藤「イタリアンレストランのアスペットですよ」
田中「えっ? そうだったんですか?」
佐藤「そうです」
田中「そうだったんですか……。あの……、今度こそ一緒に食事してくれませんか?」
佐藤「また、ですか?」
田中「また、です……というか、今度は大丈夫です」
佐藤「わかりました。では、食事に行きましょう。今度が最後ですよ!」
田中「本当ですか?! ありがとうございます!」
佐藤「どういたしまして」
田中「では、いつが都合がいいですか?」
佐藤「ええと……今日はどうですか?」
田中「今日ですね。分かりました。どこで待ち合わせましょうか?」
佐藤「また会社の近くのレストランでいいですか?」
田中「いいですよ!それでは、何時にしましょうか?」
佐藤「また6時半でいいですか?」
田中「わかりました。6時半なら大丈夫です!」
佐藤「では、6時半に会社の近くのレストランで決まりですね?」
田中「はい、決まりです!では、楽しみにしています!」
佐藤「私も楽しみにしています!」
田中「さようなら」
佐藤「さようなら」

 さて、6時になりまして、仕事が終わりました。
 田中さんは、にこにこしながら会社を出ますと右に曲がりまして、すぐ近くのイタリアンレストラン「アスペット」に向かいました。
 そのすぐ後ろに佐藤さんがいました。こっそりと後を付けています。田中さんが会社を出て右に曲がってイタリアンレストランの「アスペット」に入ったのを見ると、佐藤さんは会社の方に引き返しまして、そのまま進んでフレンチレストランの「デゾレ」に入りました。

 おあとが宜しいようで。

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