インボイス制度に構造的な欠陥があるかも

 インボイス制度に反対してる人がたくさんいるのだが、この記事で私が指摘したような欠陥を指摘する声が聞こえてこないので、誰も気付いていないのではないかと思っていた。でも、ふと思いついて「インボイス制度 構造的な欠陥」でGoogle画像検索をしてみたら、事業者が納める消費税の合計額が消費者の支払う消費税よりも大きくなる図を載せているサイトがあった。

 「インボイス方式導入による益税の抑制-免税事業者への影響と今後の消費税の公平性確保に向けて |ニッセイ基礎研究所」は2019/11/7の記事である。「(図表1-D)インボイス方式導入後の消費者負担のイメージ(免税点制度)」を見ると「税収40(10+0+30) > 消費者負担分30」となってる。「【インボイス制度とは】請求書の書き方や簡易課税制度・納税額の影響を解説 | ツギノジダイ」は最終更新日が2021/5/11である。「インボイス制度導入後のイメージ(筆者作成)」を見ると「事業者が納税した消費税額 40円 > 消費者が支払った消費税額 30円」となってる。
 どちらも消費税が消費者が支払った額よりも多く納税されているにもかかわらず、それを問題視している記述はない。おそらく、消費税を負担するのは事業者という認識があるからだろう。だから事業者の負担が増えることは指摘していても、消費税が過剰に収められていることは気にしてないのだろう。しかし、次の国税庁や財務省のサイトにあるように、消費税を負担するのは消費者である

・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。
・商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます

消費税のしくみ|国税庁

○ 消費税は、財・サービスの消費が行われることに着目して課税される税
○ 消費税の実質的な負担者は消費者であるが、納税義務者は事業者
○ 全国にわたる製造、卸、小売り等の各取引段階の事業者が納付する消費税額の合計は、消費者が負担する消費税額に対応

消費税に関する基本的な資料 : 財務省

 消費税は付加価値税に分類されるようだが、事業者に広まっている認識は「事業者が支払って納税額を価格に転嫁している」ということなのだろう。「総額表示」が義務付けられていて価格に消費税を記載しなくてもよくなっているのも酒税、たばこ税、ガソリン税が価格に記載されていないのと同様なのかもしれない。商品価格に消費税額が記載されていなければ消費者は消費税を意識することがない。事業者の認識通り「消費税額が価格に転嫁されているだけ」ということになる。
 でも、それならば、事業者の利益に課税するのなら、消費税を廃止して法人税を上げた方が良い。法人でない個人事業主の場合は所得税を上げた方が良い。日本は法人税を下げて消費税を上げてきたが、どちらも事業者が負担しているのなら法人税を下げる意味がない。消費税は消費者が負担するものだと思っているから法人税を下げることによって納税額が下がったという認識もあるのだろう。実際、大企業はインボイス制度に反対してないように思う。反対しているのは免税事業者のように制度導入前よりも負担が増える小さな事業者ばかりのような気がする。
 話がまとまらないが、要するに、消費税を負担するのが消費者なのか事業者なのか認識を一致させて、消費者が負担するのならば消費者が支払った消費税は確実に納税されなければいけないと思うし、消費者の負担額以上に納税されてはいけないと思うし、事業者が負担するのなら消費税を廃止して減税額を埋めるために法人税(個人事業主の場合は所得税)を上げるべきだと思ってる。

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